「あと1つだけ」が締切直前に出てくるのはなぜなのか
納品前日の夜。
確認メッセージを送った数時間後に届く一通の連絡。
「すみません、あと1点だけお願いできますか?」
この文章を見て、軽く頭痛がした人もいるかもしれません。
しかも不思議なことに、その「あと1点」はだいたい1点では終わりません。
- 背景にもう1人追加したい
- 服装を変更したい
- やっぱり表情も変えたい
- SNSアイコン用の別サイズも欲しい
そして最後に必ず添えられる魔法の言葉。
「最初に言っておけばよかったんですが…」
こちらとしても思います。
本当にそうですね、と。
実は依頼者はわざとやっているわけではない
追加要望が後から出てくると、「最初から全部言ってほしい」と感じます。
しかし、多くの場合は悪意ではありません。
人は自分が何を欲しいのかを、意外と正確に把握していません。
家具を買う時も、家電を買う時も、髪を切る時も同じです。
完成イメージを頭の中で持っているつもりでも、その輪郭はかなりぼんやりしています。
ところが制作物が形になって見えてくると、
- あれも欲しかった
- これも必要だった
- そういえばこうしてほしかった
という記憶が次々に発掘されます。
人間の脳は優秀ですが、締切直前になると急に発掘作業を始める癖があります。
普段は埋蔵文化財扱いだった要望が、納品前日に出土するのです。
イラスト依頼で追加修正が起こりやすい理由
特にイラスト依頼は、この現象が起きやすい分野です。
完成品を見ないと判断できない
文章や資料と違い、イラストは完成イメージを言語化しにくいものです。
依頼者自身も、
- かわいい感じ
- 少しかっこよく
- 柔らかい雰囲気で
くらいの認識しか持っていないことがあります。
そのため、ラフや完成品を見て初めて「思っていたものとの差分」に気付きます。
依頼者は制作工程を知らない
描く側から見ると大きな修正でも、依頼者から見ると小さなお願いに見えることがあります。
例えば、
「髪型だけ変えてもらえますか?」
という一言。
依頼者の中では3秒で終わる作業です。
実際には3秒どころか、レイヤーの歴史をさかのぼる旅が始まることもあります。
本当の原因は「確認不足」ではなく「整理不足」
追加修正が多い案件を見ると、
「依頼者の確認不足」
と考えがちです。
しかし実際には、
依頼内容を整理する機会がなかった
というケースが少なくありません。
依頼者は頭の中にあるイメージを説明したつもりでも、
- 用途
- サイズ
- 掲載場所
- 必要な差分
- 参考資料
などが抜け落ちていることがあります。
そして抜けた情報は、なぜか締切直前に思い出されます。
人類は数千年文明を発展させてきましたが、「締切直前に思い出す能力」だけは異常に高性能です。
追加要望を減らす一番簡単な方法
答えはシンプルです。
依頼を受ける前に、必要な情報をまとめて聞いてしまうこと。
つまりヒアリングです。
ただし毎回ゼロから質問を作るのは大変です。
そこで役立つのが、依頼内容を整理するためのヒアリングシートです。
ヒアリングシートで確認したい項目
- 使用用途
- サイズ
- 希望納期
- 参考資料
- 必要な差分
- 商用利用の有無
- 修正回数のルール
依頼者は質問に答えるだけで、自分の要望を整理できます。
結果として、
「そういえば言い忘れていました」
が減ります。
こちらも精神的ダメージを減らせます。
Win-Winです。
少なくとも納品前日の22時47分に「あと1つだけ」の通知を見る確率は下がります。
ヒアリングシートを毎回作るのが面倒なら
とはいえ、依頼ごとに質問項目を考えてフォームを作るのは意外と手間です。
そこで使えるのが Sheeto です。
Sheeto は、依頼内容を整理するためのヒアリングシートを簡単に作成できるサービスです。
URLを共有するだけで、依頼者に必要事項を入力してもらえます。
「用途は?」
「サイズは?」
「参考資料はありますか?」
と毎回聞き直す手間も減ります。
何より、締切直前に埋蔵要望が発掘される確率を下げられます。
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まとめ
人が締切直前に追加要望を思い出すのは、性格の問題というより、人間の認知の仕組みに近いものです。
完成形が見えて初めて気付くこともありますし、依頼内容を整理する機会がなかっただけの場合もあります。
だからこそ大切なのは、
「追加要望を責めること」ではなく、
最初から整理できる仕組みを作ること
です。
ヒアリングシートを活用すれば、依頼者も伝えやすくなり、制作者も安心して制作に集中できます。
そして願わくば、納品前日の夜に届く
「あと1つだけなんですが……」
という通知を、少しでも減らせるはずです。